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佐藤健VS綾野剛の鍛えたボディに釘付けになる! 話題作『亜人』は原作を知らなくても楽しめるのかみてきた結果…

   



【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が最新映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、本音レビューをします。

今回は、9月30日から公開中の映画『亜人』をピックアップします。劇場3部作とテレビシリーズでアニメ化された、桜井画門の人気コミック「亜人」を実写化した作品。初登場で第1位を記録し、翌週『アウトレイジ 最終章』にトップの座を明け渡しましたが、引き続き注目されています。

佐藤健と綾野剛の共演にソソられまして、劇場で観てきました! まずはサクっと物語から。

【物語】

病気の妹(浜辺美波)を救うために医者を目指していた永井(佐藤健)。

彼は交通事故で命を落としたものの、一瞬で生き返ったことから、絶対に死なない「亜人」であることが明らかになります。永井は政府機関に捕えられ、亜人実験のモルモットとして、何度も殺されては生き返ります。

そんな中、亜人の中でもテロリストとして人間の殺戮を繰り返してきた佐藤(綾野剛)とその一味は、亜人実験を繰り返す政府機関を破壊し、大量殺戮を企んでいました。

佐藤に救われた永井は、これまで政府に残酷な目に合わされてきたものの、佐藤の狂気じみた行いはどうしても許せず、敵対する関係になるのです。

【見たことのある世界】

私は原作もアニメも未読で、何も知らない状態で映画『亜人』を楽しめるか? というスタンスで見ました。

「亜人」の死んでも生き返る能力や、戦いの場に召喚する “黒い粒子” 、強靭なIBM(インビジブル・ブラック・マター → 黒いミイラみたいなヴィジュアル)など、こういう世界観を持つ映画は、前にも見たと思いました。

何度も生き返る設定は、日本のライトノベルを映画化したトム・クルーズの主演映画『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(時間のループで逆戻りして生き返る)、特殊能力で召喚するIBMは『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』のスタンド、人間界で生きる特殊生物の苦悩は『東京喰種 トーキョーグール』を思い出しました。

上記の映画より映画化が遅かったせいか、申し訳ないのですが、初めて見たのにフレッシュな印象がなかった。こういうのって早いもの勝ちですね。

【亜人たちの苦悩や悲しみ】

それでも、亜人たちの苦しみには目を見張るものがありました。彼らの辿る運命が、この物語の核となっています。

亜人だったせいで、政府機関に捕えられ何度も殺されては生き返り、常に体は包帯グルグル巻きで、血まみれ。また、腕や脚がないこともあり、実験台の上で、ミイラのような姿から目だけがギョロギョロ動き、血の涙を流しているのです。

彼らがどんなに苦しい人生を歩んできたか、人体実験を行う人間がどんなに残酷であるのかは、想像すると身震いするほど恐ろしかったです。

その苦しみから脱した佐藤は人間の殺戮に走るのですが、永井は、そんなクレイジーな佐藤を嫌悪します。同じ残酷な実験の餌食になっていた二人なのに、それに対する感情が全く違うのは興味深かったですね。

佐藤は感情のかけらもなく、何でも殺しに走るのに対し、永井は佐藤に対抗し、平穏な生活を求めて人間側につくのですから。

【悪として描かれる佐藤の方が共感度が高い】

映画では殺戮を繰り返す佐藤が悪、止めようとする永井が善のように描かれているのですが、残酷な人体実験の餌食になっていた佐藤が政府機関を憎む気持ちの方が、どちらかといえば理解できると感じました。

佐藤は罪のない人を殺しすぎではあるのですが、同じような人体実験を受けていながら恨みを持たず、平穏な暮らしを目指す永井の心のほうが謎でした。憎み続けるよりも、もう忘れたい苦しみってことなのでしょうか?

そのあたりの掘り下げがないまま、佐藤VS永井のバトルに突入していくため、見た目はアクションが派手で見応えはあるのですが、正直気持ちは置いて行かれたままでした。

【佐藤健と綾野剛のサービスカット】

全体的に男性向けのアクション大作という作りなのですが、鍛え抜かれたボディを持つ佐藤健と綾野剛はカッコ良いですし、何より二人が脱ぐシーンがあります! これは女性向けのサービスカット? なかなかの厚い胸板と筋肉質の腕など「おおお!」とファンはきっと前のめりで見てしまうでしょう。私も「ハっ!」としましたから。

主演の二人は女性をトリコにし、アクションシーンは男性をトリコにするので、意外とデートムービー向きかもしれませんね。

執筆=斎藤 香(c)Pouch

『亜人』
(2017年9月30日より、TOHOシネマズ日劇ほか全国ロードショー)
監督:本広克行
出演:佐藤健、玉山鉄二、城田優、千葉雄大、川栄李奈、山田裕貴、浜辺美波、綾野剛
(C)2017映画「亜人」製作委員会 (C)桜井画門/講談社

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