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映画『疾風ロンド』を本音レビュー / 雪山アクションがもっと見たかった…【最新シネマ批評】

   


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【公開中☆超話題作シネマ批評]
映画ライター斎藤香が、超話題作だけど「まだポーチで取り上げていなかった~!」という映画の中から、作品をひとつ取り上げます。

今回は『疾風ロンド』(11月26日公開)を取り上げます。東野圭吾の同名原作の映画化であり、演出は『サラリーマンNEO 劇場版』やドラマ「あまちゃん」の吉田照幸監督。ちょっとヒトクセありそうな映画です。

また長編サスペンス小説を元にした映画ですが、コメディタッチというところにそそられますね。ナンバーワンヒットとはいきませんでしたが、なにげにジワジワ人気のようです。

主演・阿部寛が雪山を滑走しているのはなぜ? なぜ松葉づえ? では物語から。

【物語】

医科学研究所の主任研究員の栗林(阿部寛)と所長(柄本明)は、危険な違法生物兵器「K-55」を元研究員に盗まれ、脅迫されます。

犯人は3億円を要求してきますが、事故であっけなく死亡。「生物兵器が拡散したらそこは死の海だ」と、栗林は犯人から送られてきた写真をヒントに場所をつきとめ、息子(濱田龍臣)を連れてその場へ向かいます。
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そこは野沢温泉スキー場。彼の怪しげな行動に気付いたパトロール隊員の根津(大倉忠義)とスノーボードクロス選手の千晶(大島優子)も巻き込んで、捜索は二転三転していくのです。
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【もっと雪山をぶっ飛ばそうよ】

※以下、軽くネタバレしていますので未見の方はご注意ください。

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『疾風ロンド』の番宣でいくつかのシーンをかいつまんで見たとき、大島優子さんの華麗なるスノーボーダーぶりや、ムロツヨシさんとの格闘、そして関ジャニの大倉忠義さんの風を切るように飛び出してくる滑走シーンなどを見て、その酔いそうなくらいの臨場感にワクワクさせられました。で、「雪山ノンストップサスペンス」と言われ「映像化不可能」とさえ言われた原作ですから、楽しみに劇場へと足を運んだわけです。

この映画は、生物兵器を探す物語ですが、それを軸に登場人物のいろいろな事情が枝葉のように広がっていきます。栗林と息子はギクシャクした関係であること、千晶は根津に片思いしていること、生物兵器を狙う別の人物が存在すること、栗林の息子が知り合う現地の高校生とその家族の事情など。

栗林は、自分の息子はもちろん、誰にも生物兵器の存在を知らせないように捜索を進めないといけないのですが、もともとわきの甘い性格でヘマばかり。結局足をケガしたせいで、全員を巻き込んで大捜索へと発展していくのですよ。

そのやりとりの中には、生物兵器が見つかったり盗まれたり、また取り戻したりという攻防もあるのですが、気が付けば楽しみにしていたスキーチェイスのシーンは、テレビで見たのと変わりなく……。

「007」のスキーアクション、とまでは期待値を高めておりませんでしたが、雪上ノンストップサスペンスっていうから、思わず「うぉおおお」と叫ぶようなシーンが次々飛び出して来るかと思っていたので、そこが残念なところです。

【生物兵器を捜索する映画】

この映画と同じような生物兵器を捜索する映画に、最近の作品では『インフェルノ』(『ダ・ヴィンチ・コード』シリーズ)がありました。

『インフェルノ』は大量殺戮ができるウィルスを追いかけるサスペンス。ウィルスが地球を滅亡させる系の映画はほかにもありますが、でもあまりこの手のコメディは聞いたことがないので、ある意味新鮮ではあります。こういう設定は、誰もが「自分の身に起こったら」と思い込みやすく、恐怖を共有しやすいので、サスペンスやパニック映画向きなのでしょう。

その大袈裟な設定を逆手にとってのコメディというわけですが、そもそも命を奪う力がある生物兵器なのに、この映画ではみんなの扱いがぞんざいでビックリ。平気で落とすし。勇んでやってきた栗林は、足をケガしたから全然使い物にならないというダメヒーローっぷりだし。

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大爆笑というより、そういう小さな笑いの数々を散りばめて楽しませるのが監督の狙いだったのかもしれません。

クスっと笑えるかわいい作品ですが、やっぱりしつこいようですがスキーチェイスはもっと見たかった。せっかく大スクリーンで見せるのだからもっと雪山を活かさないと。でないと「スペシャルドラマでいいじゃん」ってことになっちゃいますからね。

執筆=斎藤 香(c)Pouch

『疾風ロンド』
(TOHOシネマズ日本橋ほか全国ロードショー)
監督:吉田照幸
出演:阿部寛、大倉忠義、大島優子、ムロツヨシ、堀内敬子、戸次重幸、濱田龍臣、志尊淳、野間口徹、でんでん、柄本明ほか
(C)2016「疾風ロンド」製作委員会

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