【実録】女ひとりでカウンター寿司デビューした結果 / おまかせコースとマナーに手が震えて寿司を落としそうになったけど…!
毎月1のつく日(1日、11日、21日だけ)は「ステキなぼっちの日」です。
Pouchでは担当ライターが体を張ってぼっちの限界に挑み、ぼっちの可能性を広げるべく、世の中のさまざまな場所でぼっちでも楽しく過ごせるかどうかを誠心誠意、検証しています!
今回挑むのは、ひとりカウンター寿司で「おまかせ」注文です。
人によっては余裕かもしれないこの企画。だけど私はカウンター寿司の経験ゼロ。普段は1皿100円の回転寿司(主にかっぱ寿司)ばかり食べています。そんな私でも、カウンター寿司のおまかせコースを注文し、美味しく楽しく過ごせることができるのでしょうか…?
【カウンター寿司=客を品定めのイメージ】
カウンター寿司といえば、独自のマナーがあったり、目の前の職人さんと会話必須だったり、おまかせコースを頼んだときのお会計がよめなかったりと、心とお金の準備が多すぎる。さらに、お客さんをみて値段を変える、大将がめっちゃ怖いというウワサも…のれんの奥で何が起きてるの?
【1名予約はやっていない?】
今回訪れたお寿司屋さんは、恵比寿駅から徒歩5分の「鮨竹半KARUME」です。
ここにした理由は、カウンター寿司でありながら、江戸前鮨をもっとカジュアルに「KARUME(軽め)」に楽しんでというコンセプトのお店だったから。きっと、私みたいな半人前でも受け入れてくれる…ハズ!
さっそくWEB予約しようとすると……アイヤー! 2名からしか予約できない(白目)。ぼっちはダメなの? わさび食べてないのに泣きそうだよ!
予約サイトの説明を見直してみると「※人数が選べない場合は直接店舗までお問い合わせを」とのこと。無事、電話で1名だけで予約できました。
【入店後、即白状「私、初めてです!」】
雨の降ったある夜。覚悟を決め、白いのれんをくぐりました。すると「いらっしゃいませ」とカウンターで作業していた職人さんたちが一斉に笑顔で挨拶。
それと同時に、「濡れたコートを拭いてください」とハンカチまで渡されました。お寿司屋さんの接客ってこんなに優しいの!? 恋人より優しいんですけど(白目)
カウンター席に案内され、目の前の職人さんに飲み物を聞かれました。しかし、飲み物より大事なことを伝えないと……!
「あの、私こういうカウンター寿司初めてなので粗相があったら教えてください!!」すると、「大丈夫ですよ、あまり緊張せず楽しんでくださいね」とこれまた職人さんが笑顔でこたえてくれました。なんだか思ったよりも怖くないかも!
お酒と一緒に「8000円のおまかせお願いします! あとキュウリが苦手です」と注文。人生初のぼっちカウンター寿司スタートです。
【緊張しすぎて箸が震えて使えなくなる→手で食べる】
今回はオツマミ5品、お寿司10貫、茶碗蒸し1個、つけもの1種、卵焼き1個、汁ひとつ、デザート1種の合計20種が出されました。
最初は里芋のオツマミが登場。さっそく箸で食べようとすると、緊張し箸が震えて持てない事態に!!
店内の客は偶然にも私ひとり。職人さん全員が私をみている(気がする)し、粗相をしないように気をつけたいし、食べた後に小粋な感想を言わないといけないし……あぁぁぁ手が震えるよ!
結果、震え声で職人さんに「箸使わなくても大丈夫ですか」と相談。基本的に手で食べられるものは全て手で食べました。
【「このお花って食べられますか?」アホ質問したかと思いきや…】
2日間漬けたブリのお刺身が登場。表面はあぶられ、刺身の上にはわさび。そしてお花が添えられていました。緊張をほぐすべく、職人さんと会話をしようと決意。
無理やり質問をひねり出し……「このお花、食べられるんですか?」と質問。
その瞬間『花なんて食べられるわけないやんけ! なにアホな質問しているんだ私は!』と心の中で大絶叫。
すると職人さんが「それゆかりの花なんですよ。ちぎってお刺身と一緒に食べてみてください」と言われました。本当に食べれるとは! 聞いてみてよかった!
試してみると、ブリの濃い脂が口の中で弾け、ゆかりの花の優しい酸味がサッパリ感を演出してくれるではないですか! ワサビとはまた違う美味しさに感激!
この質問をきっかけに、気になることはなんでも質問。最初の2品は緊張のあまり、正直味がわからなかったけど、だんだん職人さんとの会話を楽しむことができました。
また、職人さんからも天気の話など身近な話を振ってくれて「無言で気まずい」ということはなかったです。
【回転寿司と全然違う…違いすぎる!】
ここのお寿司は全てタレがついた状態でお寿司が提供されます。
わさびと醤油の組み合わせだけじゃなく、白身魚のお寿司には「煎り酒」が使われたり、エビのお寿司のときは、エビの味噌と醤油を絡めたタレで食べたりと、未知の世界ばかり!
おまけにお寿司を手で持つと全て「ふわり」とした不思議な柔らかさを感じました。口に入れるまでずっと愛おしかったです。
【ぼっち力発動! 全神経が職人に集中】
ぼっちでなので、もちろん話す相手が隣にいません。なので自然と職人さんと目の前の料理に全神経が集中します。意外とワクワクしたのが、職人技と職人道具!
「タレをぬるハケが可愛い」
「大トロは木箱に入っているんだ」
「金目鯛の炙りは帆立貝の上で焼くのか」
「エビは生の方が身がプリッとしているけど茹でた方が香りが立つから数秒茹でるんだ」
などなど。寿司職人の素早い工程を1分1秒食い入るように見まくる。寂しいなんて一瞬も感じない。むしろ新しい世界知っているこの瞬間は、誰にも邪魔されたくありません。
工程を見ている時のワクワク感、食べた瞬間の「こんな美味しさになるんだ!」という化学反応。「食」にずっと集中する気持ちよさが、だんだんクセになってきました。
【自分の所作を見つめ直す】
職人さんの素晴らしい技術に全力で応えたくなり、普段は気にならない箸の持ち方や、食べ方、背筋など自分の所作を見直していきます。全身全霊で食事に本気で向き合うって意外と楽しいかもしれない……!
【滞在時間は1時間だったけど…】
お店にいたのは17時半〜18時半の1時間ほど。お寿司を食べにきた “だけ” のつもりだったけど、職人技に圧倒され、食器や道具を愛でて、いろいろな知識を教えてもらって、美味しさに震えて震えて……1秒1秒が濃くとっても充実した時間でした。
職人さんのおかげで、お寿司は美味しいだけじゃなく、職人の技術と日本の文化が生み出した伝統作品だと再発見。私の目の前に寿司が運ばれるその瞬間までに、長年の歴史と技術が詰まっているのかもしれません。
心の底からごちそうさまでした。
【まとめ:ひとりカウンター寿司は食のリア充タイム】
今回、ひとりでカウンター寿司に行って思ったのは、忙しすぎて家も食事も荒んだら、高級カウンター寿司に行きたいということ。ちょっぴり高いけど、職人さんの技術と味に感動し、会話を楽しみ、新しい発見にたくさん出会えるから。
きっと約1時間でここまで充実した時間を過ごせて、お腹も心も満たされる場所は「カウンター寿司のおまかせ」しかない! 年末のデスマーチ進行のなか、1人でのれんをくぐる自分の姿が浮かびます……。
孤独度:★★
快適度:★★★★★★★★
リピート度:★★★★★★★★
撮影・執筆=百村モモ (c)Pouch
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