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試写のときから大評判だった超大ヒット作『君の名は。』を本音レビュー【最新シネマ批評】

   


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[公開中☆超話題作シネマ批評]
映画ライター斎藤香が、超話題作だけど「まだポーチで取り上げていなかった~!」という映画の中から、おススメ作品をひとつ厳選してご紹介します。

今回は新作映画ではなく、現在絶賛公開中の映画からピックアップするという新企画! 今週は社会現象になるほどの超大ヒット作となった『君の名は。』です。「何を今さら」と思われるかもしれません。何しろ公開日は8月26日ですから! 

けれど11月現在も、まだヒット街道をばく進しているという、2016年最大級のヒット作どころか映画史に残るといわれる『君の名は。』。10月31日の記録で歴代興収第9位。まだまだ記録を更新していきそうです。もしかして見てない人もいるかもしれないので、まず簡単に物語から。

【物語】

彗星の接近を1か月後に控えた日本の田舎町。田舎にウンザリしていた女子高校生の三葉は、東京の男子高校生になる夢を見ます。一方、東京の男子高校生の瀧は、田舎の女子高校生になる夢を見ます。実は二人の体は意識が入れ替わっていたのです。

「自分が別人になっている間、何が起こっている?」二人はスマホにメモを残してお互いの状況を確認しあいながらも交流を深めていきます。

ところがある日を境に、二人の入れ替わりは止まってしまう。瀧は夢の記憶を頼りに三葉に会いにいくのですが……。
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【試写のときから評判ではあった】

『君の名は。』は試写のときから、評判でした。それでもアニメにうとい私は新海監督のことを全く知らない不勉強さで、この手の思春期恋愛アニメって流行っているんだなくらいにしか思っていなかった。「大傑作」という声を耳にして試写に行こうかなとちょっとだけ思ったけど、足を運ばなかったのです。

ところが公開された途端、あっという間に大ヒットし、おそらく2016年ナンバー1ヒットになるであろう作品に化けたのです。これは見なくては! というわけで、かなり遅れて劇場で見ました。

【ハッピーな入れ替わりの青春】

男女の体が入れ替わる物語は大林宣彦監督作『転校生』など多数あり、そこに新鮮味はありません。前半は入れ替わりにとまどいながらも、三葉と瀧は、それぞれの生活をも楽しむようになっていきます。

都会に憧れていた三葉が瀧の体で都会を満喫する姿など、女子力の高い男子みたいで可愛いです。二人が入れ替わったときの報告をスマホのダイアリーを通して伝え合うのもいい。スマホで交換日記ですよ。

ここで生活、家族、友だち、二人のキャラクターと交流など、それぞれの背景と二人が距離を縮めていく様子をテンポよく見せていきます。

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しかし「どうなるのかな。二人はいつか出会うのかな」と見ていたら、ある日を境に入れ替わりがなくなってしまい、そこからこの物語は思いもよらない方へと突き進んでいくのです。(この先は軽いネタバレもあるので映画を未見の方は要注意です)

【前半の伏線が後半で物語の世界を広げていく】

入れ替わらなくなったことを疑問に思い、瀧が動き出します。三葉に会いに行くのです。瀧は三葉に会えるのか、三葉は何をしているのか? 三葉は瀧に会いに行かないのか? ここから映画は、意外にも彗星接近に関連した壮大な物語へと突っ走っていき、三葉に会いにいったことで、彼は入れ替わりが突然なくなったことの意味を知るのです。

前半で描かれていた三葉の家族のエピソードなどが伏線となり、スピリチュアル色が強まっていく後半は驚きの連続。前半に登場する彗星のニュース、三葉の神社の家系、祖母が編む組み紐、神社のしきたりである口噛み酒などのディテールが後半に生きてきます。

【練りあげられた物語だけど】

本当によく考えられた物語です。けれども正直、後半はあまりに情報量が多すぎて整理しきれなかった。時系列が複雑で表を書きたくなったくらいです。この映画はリピーターが多いと聞くけど、それは「もう一度感動したい」という人がいる一方、1回見ただけじゃわからないということで「もう1回見て確認したい」人もいるんじゃないかと。

また二人の関係を繋ぐにあたって「なんでもっと早く電話やメールで確認しないの?」というギモンも。入れ替わりと交換日記で友だちレベルにはなっているのだから、そしたらもっと早いうちに電話して、直接話してみたくなるんじゃないかと思うんです。

しかし、それより最大の謎は「いつ好きになったの?」ということです。

二人は意思の疎通ができていて、お互いにいい友達関係を築けるくらいにはなっていましたが、好きになるきっかけがわからない。後半、二人ともお互いへの恋愛感情があふれだしているのでとまどいましたよ。やはり「あ~これは惚れたな」という決定的な何かがほしかったですね。

【ロケ地巡礼したくなるアニメ】

『君の名は。』は映像も美しく、ロケもしっかりされているようで、瀧の住む東京の眺めは、見たことがある場所がたくさん出てきて、ファンがロケ地巡礼する気持ちもわかります。

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背景を細部まで描くアニメ映画はほかにもあるかもしれないけど、この映画のように、現実にある場所のリアリティを深く追求する作品ってよくあるんでしょうか? 私はそこが、他とはちょっと違うアニメという印象でした。

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なんだかんだ書きましたが、「あれ?」とか「なんで?」とか思いながらも、それでも観客をグイグイ引っ張るパワーは本物。最後まで楽しめました。ちなみに神木隆之介(瀧)と上白石萌音(三葉)の声の演技も良かった。上白石さんは今後、声優の仕事が増えそう。それくらい、声がアニメにはまり、良かったです。

執筆=斎藤 香(c)Pouch

『君の名は。』
(2016年8月26日より全国ロードショー)
監督:新海誠
声の出演:神木隆之介、上白石萌音、長澤まさみ、市原悦子、成田凌、悠木碧ほか
(C)2016「君の名は。」製作委員会

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