「多様化した今、 女雛のみの雛人形があっても良いのでは」伝統工芸の職人が作った「初音ミク」お雛様の意味が深かった
雛人形といえば、お内裏様とお雛様、つまり男雛と女雛が対になっているのが一般的。けれど、そんな概念をくつがえすようなお雛様が登場しちゃいました。
今回、伝統工芸の職人が作り出したのは「初音ミク雛」。そう、バーチャルシンガーの初音ミクを表現したというおひなさまなんです。
それだけでも斬新なのですが、もう1点、“男雛がいない”という点でもニュータイプのお雛様といえそうです。
【老舗の職人たちが制作】
制作したのは東京都台東区にある「真多呂人形」。上賀茂神社から認定を受け、伝統工芸品である木目込み雛人形を制作している創立99年めの老舗です。
【まずは3分間、顔を見つめてほしい】
こちらの人形、ツインテールの髪型やダンスをイメージした立ち姿など初音ミクっぽさは随所に感じられます。けれど顔……顔が似てないような……?
しかし、「真多呂人形」の担当者は「初音ミクをよくご存じの方は、イラストやフィギュアとは異なるお顔に一瞬たじろいでしまうかもしれません。それこそ、まさに今回のミクの狙いでした」と言うではありませんか。
さらに続けて「3分間見つめてください」と言います。
「長い時間をかけて研究・洗練されてきた伝統工芸品の表情には、眺めれば眺めるほど引きこまれる、不思議な趣深さがあることに気づくはずです。」
……たしかに。ずっと眺めていると、ふくふくとした柔らかな表情にこちらまでやさしい気持ちになってきますね。こんな初音ミクも素敵かも! 当初は顔だけフィギュアにするという案もあったそうですが、まさに伝統工芸とポップカルチャーが融合した「初音ミク雛」と言えるでしょう。
【女雛しかいない雛人形に込められた思い】
そしてもうひとつ今どきっぽいのが、「男雛がいない」点。雛人形は本来、男女ペアのおひなさまに幸せな結婚の姿を重ね、将来の幸せを願う……という意味が込められているかと思いますが、結婚だけが女性の幸せではない現代。
価値観や幸福のカタチが多様化した中で、女雛のみの雛人形があってもおかしくない。自立した女性が自分の力で夢を叶えることだったぜんぜんアリ! 「初音ミク雛」からはそんな制作者側の思いも伝わってきます。
【期間限定で展示中】
残念ながらこちらの「初音ミク雛」は非売品となっています。ただし2018年3月9日までの期間限定で東京都台東区にある真多呂人形会館で展示中とのことですので、興味を持った方は見に出かけてみては?
参照元:PR TIMES、真多呂人形ネットショップ
執筆=鷺ノ宮やよい (c) Pouch