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乳児用液体ミルクが日本で解禁される日は近い!? 利便性もさることながら災害時の強い味方です

   


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赤ちゃんに飲ませるお乳。現在の日本では母乳か粉ミルクかの2択になりますが、災害時に便利である、男性の育児参加につながるとして、「乳児用液体ミルク」の解禁に関するニュースがここ数年、話題となっています。

私の子どもが赤ちゃんだったころ、粉ミルクは何度も使ったことがありますが、けっこう面倒なところもあるんですよね。

必要な量をスプーンで測って哺乳瓶に入れ、熱湯を注ぐ。そこから赤ちゃんが飲める人肌程度にまで冷ます。新生児ならこれを数時間おきにやらなければなりません。夜中や寒い時期だとなおさらつらい。また、赤ちゃん連れで外出したときなども大変です。

海外では液体ミルクが売っているというのに、なぜ日本には粉ミルクしかないんだ……。なぜ最初から調合された液体ミルクがないんだ……!!

私だけでなく、そんなふうにお嘆きの人は多いのでは? それだけに「液体ミルク」解禁のニュースはたいへん気になるところであります。

【液体ミルクが解禁に!?】

2016年10月、菅(すが)官房長官が「液体ミルクをはじめとする家事、育児に参画を促す商品サービスの普及を前向きに検討したい」という発言をして、朝日新聞などが伝えました。

液体ミルクの解禁に向けての姿勢を、政府が示したというわけです。

【なぜ液体ミルクは国内流通していないの?】

日本で液体ミルクが国内流通していないのは、まず、食品衛生法の規格基準で液体ミルクが想定されていないから。スーパーの売り場などで液体ミルクを常温で保管する場合、牛乳よりも厳しい安全基準が求められることが壁になっているようです。

例えば、森永乳業の公式サイトには、「現在の法律では液状の育児用ミルクは『乳児用のミルク』として規格基準が設けられていないため製造・販売はできません。調乳用の水が不要な液状ミルクは、これまでも研究を行ってきましたが、現時点で、具体的な商品化の目途はたっていません」と書かれています。

【災害時の強い味方です】

液体ミルクのメリットとしては、ミルクを冷ます手間と時間が省けることや、乳首型の吸い口を取り付ければすぐに飲ませられるので、外出時にも便利で、父親にも簡単に準備できるなどの、利便性がまず挙げられています。

そして、なによりも助かるのが災害時です。もし乳飲み子を抱えながら被災し、清潔な水の確保がむずかしくなってしまったら……。母乳で育てている人も、ストレスで母乳が出にくくなるかもしれません。こんなときに、そのまま飲ませられる液体ミルクがあると、どれだけありがたいことでしょう。

実際、2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震では支援物資として液体ミルクが送られ、被災地の人たちに非常に喜ばれたそうです。

【実際に使った人の声は?】

実際の使い勝手はどうなのでしょうか。海外旅行や個人輸入などで液体ミルクを使ったことがある人の声を、TwitterAmazon のレビューで探してみると、このような感想が見られました。

「そういえば0歳児連れて海外旅行したときにまずスーパー行って液体ミルクを買って使ったわ。便利。販売のしがらみ諸々はいったん置いて、緊急備蓄用は日本でも用意して欲しい。」

「娘が赤ちゃんの時に米国で子育てをしました。旅行や長いドライブ、そしていざという時の為に 液体ミルクを買っていました。とても便利です。ましてや災害時はお母さんだって母乳が出なくなるかも。お湯も沸かせないかも。使ってみるのも良いのでは?」

「10年前ぐらい液体ミルクは少し高いのであまり使いませんでしたが旅行やどうしてもお白湯がないときは持っていってました。」

「非常用に買いました。でも高い!! 早く日本で認可して欲しい。これが普及されたら赤ちゃんがミルクの調乳に泣いて泣いて待たせてしまうことなくあげられるので子育て支援にはwinwinだと思うが」

「個人輸入扱いですからかなり割高にはなってしまいますが、お出かけ時などには欠かせません。」

「実際に液体ミルクを使っていましたが、重くて場所も取るので、これをメインにするのは厳しいと思います。お出かけや旅行のとき、保育園に1本予備で置いておく、などのサブ的な使いかたがいいかもしれません。」

使い勝手はよく便利だけど、高い……という声が多いようですね。欧米では有名ブランドの液体ミルクが、基本的にはどこでも売っているので、旅行の時は現地調達という声も見られました。

【デメリットは高いこと? 安全性は?】

現在、国内メーカーの販売はないものの、販売が禁止されているわけではなく、液体ミルクは購入可能です。しかし、使った人の感想にもあるようにかなり高価。

例えば、Amazon で海外メーカーの液体ミルクが販売されていますが、200ml入りの10本セットで1万円以上しているものもありました。希少さや海外からの送料も含まれることを考えると、この金額も仕方がないのかもしれませんが、気軽に使うにはかなりためらわれますね……。

海外においても粉ミルクに比べると割高なのは変わらないようで、解禁されると価格がどうなるのか気になるところです。

気になる安全性に関しては、WHO(世界保健機関)とFAO(国連食糧農業機関)がまとめた「乳児用調製粉乳の安全な調乳、保存及び取扱いに関するガイドライン」には、特に新生児や未熟児といったリスクの高い赤ちゃんには、市販されている滅菌済みの液体ミルクのほうが粉ミルクよりも望ましいとされています。粉ミルクは、保管や調乳時の汚染リスクがあるということです。

【目標は2020年の解禁だそうですが……】

政府だけでなく、小池百合子東京都知事も動いているようです。

産経新聞によれば、2017年2月に乳児用液体ミルクについての関係者会合に参加し、「ぜひ『赤ちゃんファースト』で考えて」と液体ミルク推進の考えを表したとのこと。政府も、東京オリンピックが開かれる2020年ごろの解禁を目指しているそうですが……さてどうなるでしょうか。

育児、それも赤ちゃんが生まれたばかりのころは体力的にも精神的にもたいへんつらい状況が続きます。そのなかで、安全性を保ちながら、少しでも親の負担を減らせるのであれば、液体ミルクはすばらしいアイテムになってくれると、私は思います。

今後日本のメーカーが参入することで、いつでも手にはいって、手頃な価格の液体ミルクが出てくることに期待したいです。

参考リンク:Wedge「グローバル企業はなぜ貧しい母子を見殺しにしたのか」
写真:ぱくたそ
執筆=鷺ノ宮やよい (c)Pouch

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