アカデミー賞大本命のミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』の泣きのツボはラスト、涙腺崩壊です!
【公開直前☆最新シネマ批評]
映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画のなかから、おススメ作品をひとつ厳選してご紹介します。
今回ピックアップするのは、本年度アカデミー賞で13部門14ノミネートを得た、大本命と言われるミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』(2017年2月24日公開)。
『ハドソン川の奇跡』の米国プロモーション中に、トム・ハンクスが「この映画は何かの続編でもないし、劇中の音楽は誰も知らない。でも素晴らしい映画だ」と、自身は出ていないにもかかわらず必見であると語っていたという話が世界のニュースで発信されたほど。
デイミアン・チャゼル監督は、すでに力作『セッション』で名声を得ていましたが、あの映画とは全く違うアプローチで音楽を映画の世界に取り込み、誰もが心を奪われる映画を作り上げたのです! では、まず物語から。
【物語】
女優を目指すミア(エマ・ストーン)はオーディションに落ちてばかりで凹む日々。そんなある日、ジャズピアニストとして成功を目指すセブ(ライアン・ゴズリング)と出会い、二人は夢を語り合いながら恋に落ちます。
やがてセブは意に沿わぬ音楽ではありましたが、バンドで成功への階段を昇り始めますが、ミアは女優として芽が出ないまま。そんな二人の間に亀裂が入り……。
【まさに恋に落ちる映画!】
『ラ・ラ・ランド』は上映終了後、すぐに「もう1回見たい」と思ってしまう映画です。あの世界から離れたくなくなるんですよ。まるで魔法のような作品です。
魅力はたくさんあるのですが、何よりシンプルなストーリーをあの手この手の演出で盛り上げていく展開が見事です。ミアとセブの心情や、二人の気持ちが盛り上がっていく様を、歌、踊りなどのパフォーマンスを絶妙なタイミングで取り入れて見せていく様が鮮やか。
かつ、L.Aの美しさにマッチした女優たちのドレスなど、ヴィジュアル効果も抜群。本作では、映画を見ながら心が踊る体験を何度もできるんです。
往年のミュージカルファンは、クラシックなミュージカル映画『雨に唄えば』などを思い出し、今の男子女子は、こんなしなやかで美しいダンスがあるんだ! と新鮮に感じるのではないでしょうか。カップルで踊るのが流行るかも?
ダンスシーンをワンテイクで撮影したり、歌唱シーンで生歌を撮影したり、ライブ感にこだわったチャゼル監督とそれに答えたキャスト陣。パーフェクトな歌と踊りは思わずスクリーンに向かって拍手をおくりたくなります。
【成功を夢見るアーティストと恋人たちのリアル】
ミュージカルはファンタジーのような要素が強いけれども、デイミアン・チャゼル監督は来日会見で「現実的な話にしたかった」と語っています。
だからヴィジュアルはファンタジーだけど、物語はリアル。売れない女優のミアが何度もオーディションを落ちてしまうこと、チャンスを掴むために撮影所のカフェで働いていること、セブが音楽で身を立てるために、やりたい音楽ではない分野でステージに立つことなど、すべて成功を夢見るアーティストたちのあるあるエピソードなのです。
そして二人の恋愛エピソードも、恋が始まる高揚感~すれ違いへの展開は、似たような経験をしたことがある人もいるのでは。シンプルなストーリーだからこそ、誰にでも共感できるのです。
でも何より素晴らしいのはラスト。ちょっと「え?」という展開なのですが、ミアとセブの表情を見ていると「これで良かったんだ」と思えて、もう泣ける、泣けます!
デートムービーにもピッタリだし、女同士でも大いに盛り上がれます。『ラ・ラ・ランド』をきっかけにミュージカルブームが来るかも!
ちなみにアカデミー賞授賞式は2月27日(月)午前10時よりWOWOWで生中継されますよ。大本命の『ラ・ラ・ランド』が13部門の受賞なるか? 楽しみです!
『ラ・ラ・ランド』
(2017年2月24日より、TOHOシネマズみゆき座ほか全国ロードショー)
監督:デイミアン・チャゼル
出演:ライアン・ゴズリング、エマ・ストーン、ジョン・レジェンド、ローズマリー・デウィット、ソノヤ・ミズノ、J・K・シモンズ
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