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【ネタバレあり】新海誠監督『天気の子』考察と感想 / 狂った世界でも「大丈夫」—生きる強さを謳(うた)う物語

   



新海誠監督の最新作『天気の子』が2019年7月19日、全国で一斉公開されました!

前作『君の名は。』から3年。新海監督ファン歴17年の私は、待ちに待った今作を公開当日に鑑賞したのですが、最高すぎてすぐに2回めを観に行きました。

もう、一刻も早く観た人と語り合いたい〜! というわけで、映画の考察ポイント4つと感想を、がっつりネタバレありでお届けしちゃいますっ。

【考察1. 陽菜の力と天気の関係】

ヒロイン・陽菜は「願うだけで天気を晴れにする」という不思議な力を持っています。晴れにできるのは狭い範囲の空だけですが、雨続きの東京で、陽菜はその力を人々の願いに応えて使うようになります。

最初、なぜ作中の東京ではずっと雨が降り続いているのかが気になりました。「空とつながっちゃった」という陽菜のセリフどおりならば、陽菜の境遇や心情がそのまま空模様になっている、と考えられそう。

母親を亡くし、小学生の弟と2人で生きていくために、年齢を偽って働く陽菜。しかしその仕事もクビになり、ついには水商売をしようとする……そんな陽菜の心が空に映し出されているならば、雨続きでも不思議ではありません。

帆高が警察に追われ、凪ともバラバラになるかもと陽菜が追いつめられていくにつれ、雨が吹雪となることからも、陽菜と空の “つながり” がうかがえます。

【考察2. 雨の魚、空の水たまりの謎】

映画の冒頭、空にたまった大量の水が一気に降りそそぎ、帆高があやうく船から落ちそうになるシーンがありました。雨でも波でもないあの水はいったい……?

その後も宙に浮く大きな生き物のような水が目撃されたり、空から魚のようにはねる雨粒やさまざまな生き物のかたちをした水が降ってくるようになります。

空の水たまりは、陽菜の力で空が晴れている間に「本来降るはずだった雨水」の集まりかも? 雨の魚が陽菜の願いにこたえてどこかへ泳いでいくから晴れるのかな?などなど、いろいろと考えながら観ていました。

しかし物語の後半で、陽菜が天気に晴れを願う代償として、この世界から消えてしまう “人柱” であることがわかります。陽菜の体は、晴れを願うごとに透明になっていくのです。

ついに天の世界へ召し上げられてしまった陽菜の指から、帆高にもらった指輪がすり抜けて落ちる——陽菜の体が、完全に「水」になってしまったとわかる瞬間にゾクリ。

さらに、力なく横たわる陽菜のもとに無数に集まる雨の魚の群れ……幻想的な情景なのに、おそろしい。仲間を迎える姿にも見えるし、エサに群がる姿にも見えてしまうのです。人柱ってそういうことなの……?(あくまでも個人の考察です!)

物語のどこにも、明確な答えはありません。だからこそ、このシーンについてずっと考えてしまいます。

【考察3. 主人公ふたりの境遇についての伏線】

そもそも帆高はなぜ、家出をしたのか。陽菜はなぜ、人柱として選ばれたのか。作中ではっきりとは語られていませんが、そこかしこに彼らの境遇を知る手がかりが隠されています。

たとえば、最初に船で上京するシーンの帆高は顔にいくつも絆創膏を貼っていますし、過去の回想場面でも頬にキズがあります。帆高が殴られるシーンもいくつかあるのですが、殴られたあとはしばし呆然とし、正常な判断力を失っているように見えます。

また、陽菜が身につけている「しずく型の石がついたチョーカー」は、冒頭では病床の母親の手にあります。そして陽菜が帆高とともに天の世界から帰ってきたときには、チョーカーがちぎれていました。こうした部分だけを観ても、いろんなことを想像してしまいます。

物語を動かすキーとなる “拳銃” については、帆高が新宿をさまようシーンで、街頭の大型ビジョンに「大量の拳銃が見つかった」というニュース映像が流れていました。

こんなふうに、どんな人物や出来事にも、過去があり理由があることを匂わせるカットや演出がいくつも散りばめられているのです。

【考察4. 過去作からの“出演者”たち】

過去作と関連する小ネタを見つけるのも新海作品の楽しみのひとつですが、今作はその仕込まれ方が予想外でした。

陽菜たちが“晴れ女”の仕事をするシーンでは『君の名は。』の主人公である瀧がガッツリ登場! さらには三葉が帆高の背中を後押しするような言葉をかける場面も。

三葉の友人であるテッシーとさやちん、妹の四葉の姿もありましたよっ。みんな東京で元気に暮らしてるんだなぁ。

凪の友だちとして作中に登場する2人の女児にも要注目です。『言の葉の庭』とZ会のCM『クロスロード』を観たことがある人ならわかるかも……!

【わたしたちは「きっと、大丈夫」】

作中の東京は不景気で、世知辛くて、おまけにずっと雨。その描写があまりにもリアルで、現実世界での不安や危機感とリンクします。

エピローグでは、帆高と陽菜が「正常な天気」ではなく「お互いの存在」を選んだことにより雨が止まなくなり、東京の大部分が水没してしまいますが……それすらも「自分たちの選択と行動の結果が今の世界」だということを象徴しているよう。

しかし、そんな東京で人々は電車の代わりに船に乗り、普通に毎日を暮らしていました。世界なんてもともと狂ってる、昔は海だったんだから元に戻っただけだと笑い、したたかに生きているのです。

だからといって帆高の罪悪感はなくなりません。その上で、帆高は陽菜に言います。「僕たちはきっと、大丈夫だ」と。

この「大丈夫」という言葉に、わたしは救われた気がしました。うんざりすることばかりで疲れてしまっても。自分の選択に責任を感じて苦しくなっても。その心をわずかでも晴らしてくれるものがあれば —好きな人でも家族でも趣味でも思い出でも猫でも— それが、生きるための原動力になる。

だからこの世界で、明日もどうにか生きていこう。生きていけばまた何かを変えられる、なんとかなるんだと、言ってもらえた気がしたのです。

それは、開き直りかもしれません。けれど同時に、生き抜く強さでもあると思います。少年少女だけでなく大人たちにとっても、自分の願いのためにつっぱしる無謀さや開き直る図太さが必要になる瞬間は、きっとあるはず。

もちろん帆高と陽菜の決断が許せない人もいるかもしれません。でもそうやってこの作品から引き出される感情は、自分にとっての「大切なものの順番」を考えるきっかけにもなるのではないでしょうか。

いちファンとして、こんな今の時代だからこそ、たくさんの人に観てもらいたいなあと切に願います。あと、さんざん熱く語った上で言うことでもないかもしれませんが、凪くんが最高すぎるのでみんな観て。

参考サイト:映画『天気の子』公式サイト
執筆:森本マリ (c)Pouch

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