ノートルダム寺院火災、パリ市民が『アヴェ・マリア』を歌う姿が話題に / 2度全焼したイタリアの歌劇場もエールを送っています
現地時間2019年4月15日夕方、フランス・パリ中心部にあるノートルダム寺院で大規模な火災が発生しました。
尖塔と屋根が崩落するという痛ましい火災の模様は日本でも大々的に取り上げられましたが、発生から約9時間後には、火はほぼ消し止められたということです。
このときネットを中心に大きな話題となったのが、炎をあげるノートルダム寺院を見つめながら、『アヴェ・マリア』を歌うパリ市民の姿でした。
【世界中の人がパリに思いを寄せました】
パリ市民による『アヴェ・マリア』歌唱動画をツイッターに投稿したのは、スペインの日刊紙「エル・ムンド」のディレクターで、フランス特派員のイグナシオ・ジル(Ignacio Gil)さん。このツイートはまたたく間に、世界中に拡散されました。
無事を願うかのように歌うパリ市民の姿に、強く胸を打たれたという人も少なくなかったことでしょう。
【ノートルダム寺院に対するパリ市民の思いとは】
ノートルダム寺院の建設が始まったのは12世紀。国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産にも指定されていて、毎年多くの人が訪れる、パリを代表する観光名所にもなっています。
パリ市民にとっては特に大切な場所であることは明白で、今回の『アヴェ・マリア』歌唱もおそらく、誰彼ともなく集まって自発的に行われたことなのでしょう。
「ノートルダム」とは「我らの貴婦人」という意味。つまり、キリスト教の聖母マリアを意味しているとのこと。祈るように歌声をささげるパリ市民の姿からは、深い信仰心のようなものも感じずにはいられません。
【イタリアの「不死鳥」が激励の言葉を投げかける】
また、ノートルダム寺院火災のニュースに、イタリア・ヴェネツィアにある歌劇場・フェニーチェ劇場の公式ツイッターもエールを送りました。
「わたしたちも火災に見舞われたことがありますが、火災以前よりもパワーアップするように復活してきました。私たちはあなたたちの味方で友人です。恐れることはありません」
実は「フェニーチェ(fenice)」とはイタリア語で「不死鳥」の意味。1773年に火災で焼失したヴェネツィアの “他の歌劇場” の後継を自負して名付けられているのですが、その後1836年と1996年の2度にわたって火災により全焼。
そのたびに再建がなされて、まさしく「不死鳥」の名にふさわしい復活を遂げているんです。そのような場所が「大丈夫!」と呼びかけてくれることほど、心強いものはありません。
【マクロン大統領「5年以内の修復を目指す」】
ロイター通信の報道によると、火災から一夜明けて行われたテレビ演説において、フランスのマクロン大統領は「5年以内の修復を目指す」と話したといいます。
これまで長きに渡ってノートルダム寺院を慈しみ守り抜いてきた人たちと、今回の火災の最前線で奮闘した消防士のみなさんのためにも、不死鳥のごとく復活してほしいものです。5年といわず、それ以上に年月がかかったとしても。
参照元:Twitter @Inaki_Gil、Twitter @teatrolafenice、ロイター
画像:Pouch編集部(火災前の写真)
執筆=田端あんじ (c)Pouch