【本音レビュー】ディズニー映画『メリー・ポピンズ リターンズ』は観るだけで魔法にかけられた気分になる! 前回よりも原作に近くなっています
【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、ネタバレありの本音レビューをします。
今回ピックアップするのはディズニー映画の最新作『メリー・ポピンズ リターンズ』(2019年2月1日公開)です。
ミュージカルの名作映画『メリー・ポピンズ』の55年ぶりとなる続編で、ディズニーランドのアトラクション級のワクワクドキドキ感満載! ツッコミどころもありますが、スクリーンで見てこそ楽しい映画です。では物語から。
【物語】
シングルファーザーのマイケル・バンクス(ベン・ウィショー)は3人の子供を育てながら、働いていましたが、融資の返済切れで家を手放さなければならなくなります。彼と家族の大ピンチを助けるために空から降りて来たのはメリー・ポピンズ(エミリー・ブラント)。「子供の世話はお任せ」と3人の子供のしつけを開始するのです。それはとても楽しく、かつ、風変りなものでした。
【映画で体感するミュージカル・アトラクション!】
ディズニー・ミュージカル映画は数多くありますが、ミュージカル映画なのにアトラクション感のある作品は珍しいかもしれません。
メリー・ポピンズが空から降りて来るシーンからワクワクは始まり、ペラペラとしゃべるオウムの傘に、何でも入っているドクターバッグなどのアイテムを駆使したメリーの子育てはまさに奇想天外。
バスタブから海底探検の世界へと飛んだり、絵画の世界へと入り込んだり、見ている方も子供たちと一緒に冒険の旅を体感できるのです。まるでディズニーランドの「イッツ・ア・スモールワールド」「カリブの海賊」「プーさんのハニーハント」的なライド系のアトラクションみたい。ファンタジックで超ノリノリになれるのですよ!
そうしたびっくりするような魔法を使いながら、メリー・ポピンズは「創造力があればどんな状況でもハッピーに変えられること」をバンクス家の子供たちに教え、好奇心の扉を開くことの大切さを伝えていきます。
【原作に近い魔法使いのメリー・ポピンズ!】
メリーは意外にも”子供たちをやさしく包み込むような聖母タイプ”ではなく、常に上から目線で「私についていらっしゃい!」という感じ。役を演じたエミリー・ブラントは、舞台となった1930年代の資料などを読んで研究。前回よりも原作に近い英国淑女なメリー・ポピンズになっています。
加えて、日本語版吹き替え版でメリー・ポピンズ役を担当した歌手の平原綾香さんにもハマってました! 日本語吹き替え版でも歌唱シーンは英語のままという作品が多い中、平原さんは歌唱シーンもがっつり熱唱していて、これは字幕、日本語吹き替え版、両方見た方がいいヤツです!
【見終わったあとディズニーランドに行きたくなる~!】
ただ、ツッコミどころを少々申し上げるとしたら、アトラクション的な楽しさなので「あー楽しかった」とは思うものの、見終わったあとの感動の余韻があまりなかったこと。よく言えば説教臭くないけど、「創造力の大切さ」などのメリーのメッセージは伝わりにくく、子供たちがメリーのおかげですっごく変わった~という印象もなかったのです(だって最初から明るくていい子なんだもん)。
本作は感動よりも、歌と踊りとめくるめくファンタジーを感じさせることに注力した映画。ヴィジュアルの世界観がディズニーランドそのものなので、見終わったあとランドに行きたくなっちゃうという効果はあるかも~。
【ベン・ウィショーのファンはビックリかも!?】
個人的には、マイケル・バンクスを演じるのがベン・ウィショーというのが意外過ぎてビックリでした。メジャーなハリウッド映画ではなく、インディーズ系の良質な映画に多く出演してきた彼。
メジャー映画での出演は『007』シリーズと『パディントン』(声のみ)くらいじゃないかなあ。彼自身が1964年の『メリー・ポピンズ』の大ファンだったことから実現したそう。ぜひ、ベン・ウィショーが本作で弾ける姿にも注目してくださいね!
執筆=斎藤 香(c)Pouch
『メリー・ポピンズ リターンズ』
(2019年2月1日 全国公開)
監督:ロブ・マーシャル
出演:エミリー・ブラント、リン=マヌエル・ミランダ、ベン・ウィショー、エミリー・モーティマー、ジュリー・ウォルターズ、ピクシー・デイヴィーズ、サナニエル・サレー、ジョエル・ドーソン、ディック・ヴァン・ダイク、アンジェラ・ランズベリー、コリン・ファース、メリル・ストリープ
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