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【本音レビュー】『劇場版 コード・ブルー-ドクターヘリ緊急救命-』は、10年間の集大成! だけど感動シーンが緊急救命の緊迫感を上回っていたような…

   


【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、ネタバレありの本音レビューをします。

今回は大人気ドラマの映画化『劇場版 コード・ブルー-ドクターヘリ緊急救命-』(2018年7月27日公開)です。2008年7月期にフジテレビ系列で放映されたドラマ「コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」は、4人の若きフライトドクターと1人のフライトナースの成長、緊急医療現場のリアル、医師と患者の関係性を描いて大ヒット。2009年のスペシャルドラマを挟んで、2010年の2nd、2017年の3rdシーズン、いずれもヒットを記録しました。私も1stシーズンからドラマを見てきたので、映画化には期待大! では、物語からいきましょう。

【物語】

「地下鉄駅トンネル内崩落事故」から3ケ月。翔陽大学付属北部病院の救命救急センターのフライトドクター藍沢(山下智久)は、研修医としてトロントに旅立つことが決まっていました。10年間一緒に切磋琢磨してきた仲間の白石(新垣結衣)、緋山(戸田恵梨香)、藤川(浅利洋介)、そしてフライトナースの冴島(比嘉愛未)、5人はそれぞれ新たなステージへと旅立つときを迎えていたのです。

ある日、ドクターヘリ出動要請が入ります。場所は成田空港。航空機の緊急着陸事故が発生し、多くの負傷者が出た模様。白石たちはヘリで現場に向かうことに……。

【10年間の集大成を映画化】

本作はまさにドラマ「コード・ブルー-ドクターヘリ緊急救命-」の10年間の集大成です。かつ、3rdシーズンのフライトドクター候補生の3人と新人フライトナースも映画に登場させて、ドラマとの繫がりも描いています。10年分のダイジェストあり、後輩ドクターとの関係を描くエピソードあり、5人の成長と未来への展望もあり、さらに成田空港と海ほたるで起こる2つの大事故での出動。まさに盛りだくさんの内容です。

ドラマのファンは、スクリーンでおなじみのキャラクターたちに再会できる喜びにひたることができます。3rdシーズンで白石たちに教育されていた新人ドクターたちも、立派に自立の道を歩み始め、私はその成長ぶりを、お母さんのように目を細めて見てしまいました。

【次から次へと登場する感動シーン】

映画化に際して「ドラマファンに喜んでもらう映画を」という制作側の想いはあったと思います。ドクターヘリでの救命活動とともに、医者と患者、親子、恋人、そして医者同士の友情など、さまざまな関係性が描かれるのが「コード・ブルー」の魅力でもあるのですが、本作は、感動エピソードの比重が実に大きかったです。

末期がんの女性患者(山谷花純)と恋人(新田真剣佑)の関係、フライトナース雪村(馬場ふみか)とアル中の母(かたせ梨乃)の確執、脳死状態に陥った少年の臓器移植など、私もウルっと来たシーンはありましたが、次から次へと感動シーンが続くせいか、だんだん冷めていく自分がいました。

成田空港と海ほたるで大きな事故が発生し、5人がそれぞれの事故現場に飛ぶ……という、ドラマ版とは比べ物にならないほどの厳しい状況で、彼らがどのように命を救っていくのか。そして、フライトドクターとしての使命、覚悟、恐怖、焦りなどもっとえぐって欲しかった。

【緊張感とスリルが涙に吸収されてしまった】

過酷な現場で、見ている方もハラハラするような「どうなっちゃうんだろう……」と手に汗握るようなスリルをあまり感じられなかったんですよね。海ほたるでの救命劇も、被害者親子の感動エピソードに吸収されてしまったような印象が……。

個人的には、10年間の絆があるからこそ可能な5人の結束と活躍を、厳しく過酷な現場で医療に従事する者の視点を通して見せて「この5人だから助けられたんだ!」というカタルシスを感じたかったです。

ちなみに、山P、真剣佑、成田凌、安藤政信とイケメンぞろいなので、眼福度は高いです。女子はそこをしっかり楽しみましょう!

執筆=斎藤 香 (c)Pouch

『劇場版 コード・ブルー-ドクターヘリ緊急救命-』
(2018年7月27日より、TOHOシネマズ渋谷ほか全国ロードショー)
監督:西浦正記
出演:山下智久、新垣結衣、戸田恵梨香、比嘉愛未、浅利陽介、有岡大貴、成田凌、新木優子、馬場ふみか、新田真剣佑、かたせ梨乃、山谷花純、丸山智己、平埜生成、杉本哲太、安藤政信、椎名桔平
(c)2018「劇場版コード・ブルー –ドクターヘリ緊急救命-」製作委員会

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