ハリーポッターの魔法の世界が再び! 新シリーズ『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』のニュートはハリーを超える?【最新シネマ批評】
[公開直前☆最新シネマ批評]
映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画のなかから、おススメ作品をひとつ厳選してご紹介します。
今回ピックアップするのはJ.K.ローリングの『ハリー・ポッター』の新シリーズ『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』(2016年11月23日公開)です。
主人公ニュート役を演じるエディ・レッドメインら、本作のキャストと監督、プロデューサーが来日し、プレミアや初日舞台あいさつなどに出演し、日本公開を大いに盛り上げてくれました。では『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』の物語から。
【物語】
魔法動物学者ニュート・スキャマンダー(エディ・レッドメイン)は、世界各地で魔法動物の調査と保護をしています。魔法動物の入ったトランクを持ってニューヨークにやってきたニュートは、銀行の前でトランクから魔法動物が逃げ出したことに気付きます。
動物を追いかけて銀行に入った彼は、パン屋を開店するためのお金を借りに来たコワルスキー(ダン・フォグラー)に、魔法を見られてしまいます。加えて、ニュートのトランクからは次々と魔法動物が街に飛び出し大騒動に! 彼は「魔法使いであることを公にしてはならぬ」というアメリカ魔法界の掟に背いていたのです。
そのときニューヨークでは地割れや建物の崩壊という危険な現象が相次いでいて……。
【ホグワーツ魔法魔術学校の教科書の著者が主人公】
世界中を熱狂させた映画『ハリー・ポッター』のシリーズが完結したのが2011年。それから5年、原作者のJ.K.ローリングが自ら脚本を執筆したのが本作『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』。
これは『ハリー・ポッター』の1作目の舞台から70年前の物語。ホグワーツ魔法魔術学校でも使用していた教科書「幻の動物とその生息地」の著者ニュート・スキャマンダーの物語です。映画製作当初は『ハリー・ポッター』のスピンオフと言われていたけど、スピンオフではなく新シリーズ。全5部作であることが発表されています。
【ニュートのトランクの中の魔法世界】
さて、すでに11月23日に公開された本作。ハリポタファン、ファンタジー映画ファンの熱狂の中迎えられました。評判は上々ですが「ニュートのキャラがいまいちつかめない」という方も多かったようです。
ニュートは、大事な魔法動物を鍵がユルユルなトランクから逃がしてしまう失態をおかす、ちょっとポワンとしたキャラクター。コミュニケーションが苦手で、比較的受け身な性格ゆえに、若干個性が弱いのかも。この映画は、ニュートが逃げた魔法動物を捕える騒動を軸に、物語を転がしていっている印象。でもそのおかげで魔法動物たちの魅力は存分に表現できていたし、ニュートがそれらを捕えるために魔法を駆使して悪戦苦闘する姿はユーモラス&ファンタスティック!
何よりトランクの中に魔法動物が住む大きな庭と、ニュート小屋が楽しくてたまりません。
【本作はニュートの序章】
ハリー・ポッター(ダニエル・ラドクリフ)は、第一作目ではまだ子供。シリーズを通して彼がどのように成長していくのかを見ていく楽しみがありました。今回のニュートはすでに大人ですから、ハリーのような成長譚にはなりませんが、彼の過去を紐解く楽しみはあります。本作には、すでに今後の展開を予想させるセリフがあるのです。
・ニュートの元カノ? リタ・レストレンジとの関係を問われる。
・ニュートがダンブルドア(ホグワーツ魔法魔術学校の校長)の生徒であり、お気に入りだった話。
・アメリカにも魔法魔術学校があるという話……など。
これらが続編以降の物語になり、ニュートのキャラがどんどん色濃くなっていくのではないでしょうか。ワクワクしますね~。
【続編の楽しみを増強するキャラクターとは】
今回はニュートと魔法動物との関係に加えて、ニューヨークで起こる怪現象の正体を暴く “闘いの物語” という構成です。この怪現象の正体が暴かれ、一件落着かと思いきや、真の悪役が最後の最後に登場して観客はビックリすることでしょう。続編にも登場するであろう、このキャラを演じるのはハリウッドの超大スターです。
また『ハリー・ポッター』の新シリーズということで、『ハリポタ』を見たことない、読んだことない人は、「わからないのでは?」と思うかもしれないけど無問題! 私も『ハリポタ』は見てはいましたが、正直ハマったクチではないし、原作もスルーしていました。でもこの映画は大いに楽しみましたよ!
『ハリポタ』ファンの心をくすぐるキャラやエピソードがありつつ、新参者にもやさしい『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』。特にニュートを演じるエディ・レッドメインのファンは、エディが可愛くて萌え萌えになること間違いなし。
また、ノー・マジ(人間のことを魔法界ではこう呼ぶ)だけど魔法バトルに巻き込まれる、コワルスキーさん(ダン・フォグラー)が愛すべきおじさんキャラ。シリアスな場を和ませる役(コメディリリーフ)として、いい仕事をしてくれます。また、彼と人の心を読める魔法使いのクイニー(アリソン・スドル)の淡いロマンスも良いし、クイニーの姉のティナ(キャサリン・ウォーターストン)とニュートもいい感じになっていくのです。ああ、早く続編が見たい!
ちなみに恋愛にオクテで、人間関係を築くのも不得手なジミだけど可愛いニュートは、TBS系で放送中のドラマ「逃げるが恥だが役に立つ」のプロの独身、平匡さん(星野源)ぽくもあり、これからはこういうシャイなジミカワ男子が受けるのかも?
デートムービーにもなりますから、彼氏を誘って見るもよし。バタバタと忙しい年末に向けてファンタジーの世界で現実逃避するのもオススメですよ。
執筆=斎藤 香(C)pouch
『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』
(2016年11月23日(水・祝)より、丸の内ピカデリーほか全国ロードショー)
監督:デヴィッド・イェーツ
出演:エディ・レッドメイン、キャサリン・ウォーターストン、ダン・フォグラー、アリソン・スドル、エズラ・ミラー、サマンサ・モートン、ジョン・ヴォイト、コリン・ファレルほか
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