「日本は、義理チョコをやめよう。」ゴディバジャパンの思い切った新聞広告が多くの人たちの共感を呼んでいます
「そういう慣習だからやっている」ということ、世の中にはたくさんありますよね。考えてみれば義理チョコもそのひとつ。
そこに一石を投じるかのようなひとことが投げかけられ、早くも話題となっています。それは本日2018年2月1日の日本経済新聞に掲載されたゴディバジャパンの新聞広告。
「日本は義理チョコをやめよう。」という言葉は、チョコレート会社のコピーとしては異例かも。けれどそこに続く代表取締役社長ジェローム・シュシャン氏のメッセージには、きっと読んだ人の多くが共感するかもしれません。
【ゴディバジャパン社長の思いとは】
ゴディバジャパンの社長はなぜ義理チョコをやめようなんて言うのか? チョコレート会社からしたら絶好の商機なのに。新聞広告に掲載されたメッセージには次のように書かれています。
「バレンタインデーは嫌いだ、という女性がいます。その日が休日だと、内心ホッとするという女性がいます。なぜなら、義理チョコを誰にあげるかを考えたり、準備をしたりするのがあまりにもタイヘンだから、というのです。気を使う、お金も使う、でも自分からはやめづらい、それが毎年もどかしい、というのです。」
「それはこの国の女性たちをずっと見てきた私たちゴディバも、肌で感じてきたこと。もちろん本命はあっていいけど、義理チョコはなくてもいい。いや、この時代、ないほうがいい。そう思うに至ったのです。」
【新聞広告ならではの素敵な使い方】
思い返してみれば、私も会社員時代はバレンタインデーには女性社員がお金を募ってチョコレートを渡していました。けど、実際は「特別お世話になってない、そこまで好きでもない男性社員にまであげるなんてめんどくさい。業務とは関係ないのに」が本心でした。
とはいえ、「じゃあやめましょう」とはなかなか言えません。あのとき、自分が声を出していたら、もしかしたら変わっていたかもしれない。でも、根付いた慣習をくつがえすというのは大きなパワーがいるものです。
だからこそ、「世界的なチョコレート会社であるゴディバ」が「新聞広告一面を使って」こうしたメッセージを出したということは大きな意義があるのではないでしょうか。
中日新聞|東京新聞 広告局の公式ツイッターも
「今日2/1の日経さん、GODIVAの全面広告にハッとさせられました。ネットだけではメッセージとして刺さらない、新聞広告ならではの素敵な使い方だと思います。」
とツイートしています。
【なぜ日本経済新聞なのか】
そしてもうひとつ注目すべきは、掲載されているのが会社員や企業幹部の購読者も多い日本経済新聞であること。続くメッセージには
「そもそもバレンタインは、純粋に気持ちを伝える日。社内の人間関係を調整する日ではない。だから男性のみなさんから、とりわけそれぞれの会社トップから、彼女たちにまずひと言、言ってあげてください。『義理チョコ、ムリしないで』と」
とあります。そう、これは女性たちに訴えているというよりは、チョコレートをもらう側の男性陣に向けて訴えていることでもあるのです。
この新聞広告にはツイッターで「広告見てすごい! と声が出てしまいました」「GODIVAが思い切った広告。これほんとそう思う」「こういう考え方の流れなんだよな今必要なの」「男性もお返しが大変らしいし、やめていいんじゃないかな」など絶賛の声もあがっています。
【儀礼ではない、心からの想いを伝えよう】
そもそも日本のバレンタインデーは独特で、女性から男性へチョコレートをあげるという慣習は他の国にはまずありません。
けれど、「愛してる、好きです、本当にありがとう」と心からの感情を伝えられる日というのはそれはそれで素敵なもの。だからこそ逆に、あげる楽しさがないチョコなんてなんの意味があるのだろうとも思えます。
ゴディバジャパン社長のメッセージの締めくくりは「儀礼ではない、心からの感情だけを、これからも大切にしたい私たちです」となっています。そしていちばん下には「バレンタインデーを、好きになってください。」の文字が。
皆さんはこのメッセージ、どう思いますか? 義理チョコの意味について考えてみるよい機会かもしれません。
執筆=鷺ノ宮やよい (c)Pouch