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好きになっちゃダメなのに…ディーン・フジオカの結婚詐欺師役がハマリすぎ! 話題の映画『結婚』たくさんの嘘が潜んでいます【最新シネマ批評】

   



【公開中☆最新シネマ批評】
映画ライター斎藤香が最新映画のなかから、公開中の作品をひとつ厳選して、本音レビューをします。

今回ピックアップするのは、ディーン・フジオカ主演映画『結婚』(2017年6月24日公開)です。ディーンが結婚詐欺師を演じるという、これほどドンピシャなキャスティングはあるだろうかという作品。原作は井上荒野の同名小説です。では物語から。

【物語】

自然な流れで「結婚しよう」と囁き、女性の心をしっかり掴んで離さない男、古海健児(ディーン・フジオカ)は結婚詐欺師。妻の初音(貫地谷しほり)と結婚生活を送っています。

ターゲットの女性を彼に与えるのは、相棒の千石るり子(柊子)。彼女は古海に騙された元被害者ですが、詐欺を見抜いて、自らパートナーを買って出たのです。彼女の指示を受けて動くことが内心おもしろくない古海ですが、弱みを握られているので仕方がありません。

家具の店に勤める麻美(中村映里子)、元編集者の真奈(松本若菜)、二人同時に毒牙にかけていた古海でしたが、かつて騙した市役所勤務の鳩子(安藤玉恵)が、探偵を雇って彼を追いかけていたのです。

【たくさんの嘘が潜んでいる映画】

この映画には多くの嘘が散らばっています。そもそも詐欺師は嘘つきですから当たり前なのですが、古海はあるときは小説家、あるときは空間デザイナーになって、女性の間を渡り歩きます。実家の母が病気の治療費、二人で暮らすマンション購入代金、共同経営者として出資金など、彼の口から突いて出る嘘の数々……。

詐欺師の報道を見るにつけ「なんであんな嘘に騙されるのだろう」と思ったりするのですが、それはこちらが当事者ではなく、客観的で冷静だから思えることなんですよね。本作を見て、そう思いましたよ。結婚詐欺の被害者は彼への愛の証だと信じ切っていますから。

オレオレ詐欺だってそうじゃないですか、息子や孫への愛情ゆえに「助けたい」。その一心で大金を差し出してしまうのです。

【イケメンが女性の心を刺激する】

それでも大金を渡すとなったら、少しは躊躇しないもんかなあと思ったりしましたが、この映画の女たちにそんな躊躇はなし。

なぜなら相手はディーン・フジオカ。やっぱりあの笑顔、スマートなエスコートぶりは反論する余地を与えないんです。男女関係に置いて、古海は女に主導権を握らせません。自分の流れに彼女たちを乗せていくのです。また、いい男だけど完全なプレイボーイに見えない、どこか陰があるところも母性を刺激するんですよね。

もともと「退屈な毎日」とか「成功者になりたい」などの思いを秘めた女性がターゲット。女性の中の奥に潜む孤独や願望を刺激するのが古海のやり方なのです。“イケメンが声かけてきた→優しくされてうれしい→私が考えていること、なんでわかるの?→運命かもしれない” そんな流れで、気が付いたらベッドインしていたりするわけです。

「ああ、幸せ~」そう思ったら、あとは古海の思うツボです! 元被害者でパートナーになった、るり子の人選も意外と良いのかもしれません。

【ディーンは素敵なんですけど】

ただ、もうちょっと結婚詐欺の手練手管を見せてほしかった……。ディーンは素敵なんですが、彼のルックスの良さに寄りかかっている印象が否めませんでした。あとディーン・フジオカ以外のキャストが……。騙される女を安藤玉恵さん(ドラマ「あまちゃん」など)、古海の妻を貫地谷しほりさんが演じているのですが、もっと彼女たちとディーンの共演シーンが見たかったです。

安藤さんがこっちの役だったらとか、貫地谷さんは騙される方で見たかったとか、あれこれ思いめぐらせてしまいました。

とはいえ、結婚詐欺映画はこれまでもありましたが、本作のディーン・フジオカは、一番美しい結婚詐欺師かもしれませんね。

執筆=斎藤 香 (c) Pouch

『結婚』
(2017年6月24日より、角川シネマ新宿ほか全国ロードショー)
監督:西谷真一
出演:ディーン・フジオカ、柊子、中村映里子、松本若菜、安藤玉恵、古舘寛治、萬田久子、貫地谷しほり
(c) 2017「結婚」製作委員会

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