映画『帝一の國』は菅田将暉の絶叫演技と濃厚なイケメン集団のバトルに萌える男子校映画です【最新シネマ批評】
【最新シネマ批評】
映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画のなかから、おススメ作品をひとつ厳選してご紹介します。
今回ピックアップするのは菅田将暉や野村周平、竹内涼真など人気若手俳優たちが共演する “イケメンオールスター映画” 『帝一の國』(2017年4月29日公開)。
本作は、古屋兎丸の同名漫画『帝一の國』の実写映画化で、主演の菅田将暉は原作の大ファン。「読んでいたときから、この役(帝一)は、自分が演じるためにあるんじゃないかと感じていた」というほど惚れ込んでいたそう。
私は試写で見させていただきましたが「2017年の日本映画のトップ3に入るかも!」と大興奮の映画でしたよ。では物語のあらすじから。
【物語】
赤場帝一(菅田将暉)の夢は「総理大臣になって自分の国を作りあげること」。そのためには入学した名門男子校「海帝高校」で生徒会長になることが絶対条件。この学校は政財界に強力なコネがあるため、生徒会長になれば将来の内閣入りは確実なのです。
しかし、生徒会長の座を狙う生徒は他にもたくさん。帝一はライバルを蹴落として生徒会長の座に座ることができるのでしょうか?
【学園コメディの傑作誕生!】
「まさかこんなに面白いとは、こんなに笑わしてくれるとは!」それが、この映画を試写で見たあとの率直な感想です。
まず、お坊ちゃま揃いの名門男子校が舞台というのが新鮮。
男子が主人公の青春映画って体育会系のイメージが強く、また最近は少女漫画のラブストーリーの実写化が多いせいかもしれませんが、この映画で「優等生のお坊ちゃまがイッパイ」という、新たなカテゴリが生まれた気がします。
【とにかく生徒会長になりたい! 熱すぎる帝一】
この映画の面白さのキモは、濃すぎるキャラ設定、濃すぎる演出と、それに応える役者陣の振り切った演技が見事に溶け合っていること。これにつきます。
何が何でも生徒会長へのチャンスを得たい帝一は、先輩の生徒会長選挙で有力候補者にすり寄り、これ見よがしに尽くし、優位に立つためにあらゆる手を打ちます。
その一方で、成績優秀な生徒に勝つために猛勉強。すべてにおいて大げさなリアクションで全編駆け抜けているのです。菅田くんが演じる帝一のセリフ、80%は叫んでいますからね。声帯やられているじゃないかと心配するほどです。
【名門男子校の濃厚キャラクター陣に萌える】
この映画で大健闘しているのは菅田くんだけではありません。
帝一の親友、榊原光明役・志尊淳くんは、女の子みたいな振る舞いで可愛く、姑息な手段でライバルを陥れる東郷菊馬役・野村周平くんは、これまでのイケメンぶりを一蹴するおバカ男子を好演。
また富豪の息子、氷室ローランド役・間宮祥太郎くんは、ブロンド&ロン毛という異色のルックスで、スカした男子高校生を熱演します。
そんな個性派軍団の一方、この学校唯一の体育会系男子を竹内涼真くんがさわやかに、知的な棋士男子を千葉雄大くんがクールに演じて、濃厚すぎる男子陣の闘いの中にさわやかな風を吹かせています。
濃厚男子軍団の行き過ぎた行動に爆笑して、さわやか軍団にホッコリ、という具合に、キャラのバランスが絶妙なんですよ。
【すべてが大胆で振り切ったからこその楽しさ!】
超個性的なキャラは、失敗したら役者のキャリア的に大怪我を負う可能性がありますが、本作では、全員が的確にそれぞれの役のコアを掴んでいる感がありました。若いキャストたちは、この映画で演技力のレベルが上がったのではないでしょうか。泣かせるより笑わせる方が芝居は難しいと言いますからね。特に、菅田くんは神演技!
また、この映画は、永井聡監督と役者陣のチームワークの良さを強く感じます。あれだけ振り切った演出と芝居ができるというのはお互いの信頼関係もあるでしょう。まさに「あ・うんの呼吸」を見せてもらいましたよ。映画はチームで作るものなんだとしみじみ……。
大いに笑って楽しみながら、最後は感動も。実によくできた学園青春コメディ『帝一の國』。菅田将暉ファンはもちろん「楽しい映画が見たい!」っていう人はゼヒ。友だち同士でもデートでも家族でもオールOK! GW映画の超目玉作品です。
執筆=斎藤 香(c)Pouch
『帝一の國』
(2017年4月29日より、TOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国ロードショー)
監督:永井聡
出演:菅田将暉、野村周平、竹内涼真、間宮祥太朗、志尊淳、千葉雄大、永野芽郁、吉田鋼太郎ほか
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(C)古屋兎丸/集英社