映画『とんかつDJアゲ太郎』は欲張りでバカな青春コメディ! 北村匠海と伊勢谷友介の“しょーもない男子”ぶりが意外なほどハマってます
【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、ネタバレありの本音レビューをします。
今回ピックアップするのは爆笑コメディ映画『とんかつDJアゲ太郎』(2020年10月30日公開)。
「少年ジャンプ+」連載の人気漫画を北村匠海主演で映画化。すんごいオバカな青春コメディです。まだま世の中がが不安なこういう時期にこそ観たい映画です。楽しかったですよ~! では物語から。
【物語】
渋谷の片隅のとんかつ屋「しぶかつ」の勝又アゲ太郎(北村匠海)は三代目。でも毎日キャベツの千切りばかりをやらされ、父親(ブラザートム)が豚肉を揚げさせてくれないことが不満でした。
ある日、出前を頼まれ渋谷のクラブに足を踏み入れたアゲ太郎は、ずっと憧れていた苑子(山本舞香)に出会いドキドキ。それに加えて初めてクラブの熱狂を体験して大興奮! その熱狂を作り上げているDJに憧れ「僕もDJになりたい!」と修行を始めるのですが……。
【アゲ太郎に振り回される北村匠海が可愛い】
とてもノーテンキで楽しい映画でした! 主演の北村匠海は若手の演技派と言われる売れっ子。『君の膵臓をたべたい』の好演が絶賛され、最近では少女漫画の実写映画『思い、思われ、ふり、ふられ』で王子様のようなイケメン男子を演じています。
そんな北村くんが今回オバカ男子を熱演! 頑張って振り切って演じているのですが、どこかテレがある感じが可愛いんですよ~。
コメントでも「バカで全力で一直線。そんなアゲ太郎のテンションについていくのに必死でした(笑)」と言っていますからね、アゲ太郎のキャラの面白さもよいのですが、そのアゲ太郎に振り回されている感のある北村くんを観るのも楽しかったです。
【奇妙な思い込みでも、やる気が生まれれば結果オーライ!】
「DJととんかつは同じだ」と思い込んでいるアゲ太郎。美味しいとんかつを揚げることでお客さんに喜ばれることと、DJとして絶妙な選曲でレコードをまわしてお客さんの気持ちをアゲるのは一緒だ~!みたいな。かなり強引なのですが、それが彼のやる気につながっているのです。
とにかく「しぶかつ」で豚肉を揚げたい! DJとしてクラブで活躍したい! 憧れの苑子と仲良くなりたい!
やりたいこといっぱいのアゲ太郎。そのすべてをやり遂げようとするのですが、さすがにひとりではできないので、仲間に助っ人を頼みます。この仲間がまた変わり者ぞろいなんですよ! まずアゲ太郎が尊敬するDJオイリー。DJとしては優秀なのに、普段はしょーもないという男で、伊勢谷友介が演じています(けっこうハマリ役)。
さらに、ライバルの若手IT社長にして人気DJのDJ屋敷に伊藤健太郎が演じています。
アゲ太郎の仲間は渋谷の旅館、電飾屋、薬屋、本屋の三代目たち。加藤諒、栗原類など個性派俳優揃い。アゲ太郎がDJをするクラブに乱入してくるシーンの彼らの破天荒な体当たりの笑いにはぜひ注目していただきたい!
【人生を大いに楽しむアゲ太郎の生き方】
「二兎を追うものは一兎をも得ず」と言いますが、アゲ太郎にはそんなことわざ通用しません。彼はとんかつを揚げることと、人気のクラブDJになる夢を追い続けます。
もちろん何もかもうまくいくわけありません。DJでは経験不足のためにドーンと落ち込むこともありましたよ。でもまだ若いし、可能性いっぱいあるし、上を向くしかない! 「しぶかつ」のお客さんとクラブのお客さん、両方の気持ちを「アゲたい!」というアゲ太郎の情熱は応援したくなります。頑張れ!
【必ずとんかつが食べたくなる!】
ちなみに本作、けっこうお腹が空く映画なので要注意です。「しぶかつ」のシーンでは、とんかつを揚げるジュワジュワいういい音が聞こえて、たまんないんです。とんかつ屋さんのシーンはリアルで「しぶかつ」本当にあるのでは?と思うほど。あったら絶対に行きたくなるような「うまい店」って感じなんです。
愛嬌たっぷりのオバカ青春コメディ『とんかつDJアゲ太郎』。お気楽な気持ちで映画館で観てくださ~い!そして帰りはとんかつ食べてくださ~い!
執筆:斎藤 香 (c)Pouch
『とんかつDJアゲ太郎』
(2020年10月30日より、TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー)
監督・脚本:二宮健
原作:「とんかつDJアゲ太郎」原案:イーピャオ、漫画:小山ゆうじろう(集英社ジャンプ・コミックス刊)
出演:北村匠海、山本舞香、伊藤健太郎、加藤諒、浅香航大、栗原類、前原滉、池間夏海、片岡礼子、ブラザートム、 伊勢谷友介
主題歌:ブルーノ・マーズ 「ラナウェイ・ベイビー」(ワーナーミュージック・ジャパン)
(c)2020イーピャオ・小山ゆうじろう/集英社・映画「とんかつDJアゲ太郎」製作委員会