【コラム】舞台女優から見た「宝塚歌劇の魅力」をいちファンとして語ってみた / 『相棒』すら宝塚の世界に染め上げる力に脱帽
2020年9月26日から30日まで宝塚歌劇専門チャンネル「タカラヅカ・スカイ・ステージ」の無料放送が行われます!
実は私、宝塚歌劇のファン暦は約20年。まだ小学生だった頃、母が知人から宙組の「エクスカリバー/シトラスの風」のDVDを借りてきたことをきっかけに、劇場に足を運ぶようになりました。あのときの花總まりさんの衝撃は忘れられません……!
その後、舞台女優になっても相変わらず宝塚は大好きでいちファンとして全組をまんべんなく観劇しています。そして最近、自分が舞台女優になったからこそ感じられる「宝塚歌劇」という世界の面白さに改めて気が付きました。
今日は舞台女優目線で感じる「宝塚歌劇の魅力」をご紹介しますので、宝塚に興味はあるけど観たことがない……という方もぜひお付き合い下さい!
【舞台女優的宝塚の魅力、お伝えします!】
<「宝塚歌劇」というスタイルを極めている>
宝塚の舞台は、一般的な舞台と違い「宝塚の世界観」を極めています。
その最たるものが男役という存在。キザなセリフ、華麗な歌とダンス、きらびやかな衣装……。
おそらく、宝塚の男役さんと全く同じ立ち居振る舞いを本物の男性がやったら、違和感を感じると思います。
でも、タカラジェンヌさんが舞台でやると美しく、そしてかっこよく見えるという宝塚独自のスタイルがあるんですよね。
よく「男役を極めるのに10年かかる」と言われますが、それはやっぱり宝塚独特のスタイルを身につけるためにかかる時間で、これは舞台女優目線から見てもすごいなぁ、といつも感心してしまいます。(余談ですが、現代日本で宝塚以外にジゴロなる男性は存在するのでしょうか……?)
とことん「宝塚」というスタイル・世界観を楽しめるのが1番の魅力だと思います!
<ドラマ、漫画、歴史…どんなジャンルの作品も宝塚に染め上げる>
「宝塚って『ベルばら』ばっかりやってるんでしょ?」と宝塚を知らない友人によく聞かれるのですが、答えはNOです!
演劇の古典作品からマンガ原作、人気ドラマの舞台化まで、実は上演作品のジャンルが本当に多種多様。どんな題材・原作でも、宝塚の世界観に染め上げて宝塚作品として成立させてしまうのが宝塚スタイルなのです。
ちなみに、過去に人気ドラマ「相棒」が宝塚で舞台化されたときはびっくりしました。美しすぎる鑑識の米沢さんやスタイリッシュな角田さんが歌い踊る姿はもう本当に最高で、心の中で永久保存しています。
<お芝居とショーの二部構成のすごさ>
一部例外はあるけれど、ほとんどの場合はミュージカル(お芝居)とショーの二部構成。演者にとっては体力の消耗が激しいので大変なことは間違いないのですが、自分が観客になると1度の観劇で2つの世界観が楽しめるこの二部構成が嬉しいんですよね〜!
個人的には、ショーが宝塚らしくて大好き! たとえ悲しい結末の物語でも、二部のショーは大階段で盛り上がって終わるので、ハッピーな気分で帰路につけます。
<ジェンヌの努力に裏打ちされた美しさ>
「宝塚=かっこいい、美しい」という印象がある方は多いと思います。理想の男性を演じるために立ち居振る舞いから衣装まで計算され尽くされた男役。そして、より女性らしく見えるために努力している娘役。
近年だと明日海りおさんの「ポーの一族」のヴィジュアルが美しすぎる!と話題になりました。とにかく美しく魅せるよう、タカラジェンヌさんたちは日々研究を重ねています。宝塚らしい世界観に欠かせないのは、何よりもタカラジェンヌさんの努力です。
<衣装やメイクにも注目>
宝塚といえば宝塚メイク! かなり派手な印象があるかと思いますが、実は劇場だとかなり強いメイクをしないと後ろの客席まで表情が見えないんです。
舞台のヘアメイクは基本的に演者が自分でやるものなので、それぞれのタカラジェンヌさんのメイクや髪型に注目するのも楽しみのひとつ。私はよく舞台役者目線で「今回は年上の役だからもみあげの形を変えてる」とか「この髪飾りはドレスに合わせたんだろうな」と観劇中にマニアックなところをチェックしています。
それから、トップスター近づくほどラメやラインが増えて派手な衣装になる華やかさが楽しい! 何より手足を長く見せたり、肩幅を広くして小顔に見せたりという工夫も盛りだくさんなので、映像でアップになったときは衣装にじっくり注目するのも面白いんですよ。
【初心者の方は専用チャンネルをチェック!】
以上、舞台女優目線で感じる宝塚歌劇の魅力をお伝えしました。個人的には宝塚の伝統的な世界観が好きなので、これからもこの世界を維持して頂けたら嬉しいなぁと思っています。
好みは分かれると思いますが、宝塚歌劇は舞台に慣れていない方でも観やすい作品も多いので、舞台芸術に触れるきっかけにもなるのではないでしょうか。
「宝塚に興味はあるけどなかなか……」という方は、2020年9月26〜30日に宝塚専用チャンネル「タカラヅカ・スカイ・ステージ」が無料開放されるので要チェック! 5日間、宝塚関連の色んな番組が無料で観られるので、ぜひ宝塚ワールドに触れてみて下さいね♡
参考リンク:TAKARAZUKA SKY STAGE
執筆・撮影:五條なつき
Photo:(c)Pouch