肉食女子が1週間ヴィーガン生活してみたよ…そこで感じたメリット・デメリットとは!?【前編:外食編】
好きな食べ物は肉です。いい肉といい酒といい男さえあれば、お米もスイーツも別にいらない……という生粋の肉食女子である私ですが、最近とあるキーワードがずっと心に引っかかっていました。
ヴィーガン。あるいはヴィーガニズム。
アリアナ・グランデやビリー・アイリッシュなどのヤングセレブが次々とヴィーガンを公言するようになっています。それだけでなく、私の周りでも「ヴィーガンなんです」と聞くことが数年前に比べてぐっと増えたように感じていました。
そんな彼らが東京のレストラン事情について口をそろえて言うのが
「種類は多いけど、オプション(選択肢)が少ない」
なんということでしょう。世界有数のグルメシティ・東京が? もしそうだとしたら、あと1年を切った東京オリンピックに向けて、東京に滞在するヴィーガンへの対応はひとつの課題でもありそうです。
果たして、どのくらいの課題なのか? というか、そもそも「ヴィーガンであること」のメリット(またはデメリット)は何なのか?
実際に体を張って試してみることにしました。
(※医師のアドバイスをもとに行った実験ではありません)
【そもそも、ベジタリアンとヴィーガンの違いって?】
私もすっかり勘違いしていたのですが、ヴィーガンは「ベジタリアン」をおしゃれに言い換えた言葉ではないみたいです。
ヴィーガン / ヴィーガニズム:食べ物、衣服、その他あらゆる形態の動物から摂取したものを取り入れないようにする生き方
肉や魚だけでなく、卵、牛乳や乳製品、蜂蜜なども食べません。また革製品やウールの服などを身につけない、動物実験を元に生産された化粧品や薬品を使用しない…といったライフスタイル全般に関わるものでもあります。
どれくらい厳格に守るかは人によってバラバラで、食事だけ取り入れている人(ダイエタリー・ヴィーガンといいます)や夕食だけ・週末だけ実践しているという人など、さまざまだそうです。
一方、わりと以前からなじみのある言葉「ベジタリアン」は
ベジタリアン:菜食主義、肉や魚など動物性の食物を避ける
だそうです。乳製品と卵については人それぞれ(食べないベジタリアンもいます)、蜂蜜についてはタブー視されないことが多い模様。ざっくり言えば、ヴィーガンは「完全菜食主義+ライフスタイル」、ベジタリアンは「基準が人それぞれの菜食主義」ですね。
【とりあえずゆるく実践】
ううむ…この世界、調べれば調べるほど奥が深い。肉食女子の単純脳では処理できない情報量になってきたので、とりあえずシンプルに考えてみることにしました。
1、 自炊するときは肉、魚、乳製品、卵を避ける
2、 外食の際もできれば避ける。無理な場合は乳製品と卵は許容
3、 ダイエット目的ではないので食べる量やカロリーは減らさない
4、 仕事上の会食など、避けられない時は解禁
とまあ、本職?の方に怒られそうなゆるさで、まずは1週間。自炊編と外食編の2つに分けてお伝えします。今回は外食編です。
肉よ。しばしのお別れだ……
【ゆるヴィーガンライフ:外食編】
私がふだん勤務しているのは、港区・新橋。東京でも屈指のオフィス街ということで、和・洋・中・イタリアン・フレンチ・エスニックなどなど、レストランの数も種類も盛りだくさん。ヴィーガン対応も余裕でしょ、と思っていましたが……
これが、ないんですわ。びっくりするほど。
まずヘルシーなイメージの和食。肉ナシのメニューはたくさんあれど、やっかいなのが日本の誇る「だし」文化。味噌汁や煮物の味付けにはカツオや煮干し(イワシ)など魚から取っただしが使われています。純昆布だしベースのものもあるにはありますが、
いちいち「これ昆布だしだけですか? 魚介だし使ってないやつですか?」と聞くのもちょっとねえ…
続いては中華。こちらも同じく、野菜炒め的なおかずでもベースの調味料に豚や牛、貝柱などのエキスが使われていることがほとんどです。かなりの割合で中華ランチについてくる卵スープもヴィーガンルールではもちろん×。
フレンチやイタリアンはバター・チーズなどの乳製品を避けるのが至難の技です。ペペロンチーノやバジルのパスタならギリOK……? でもそのへんはシンプルすぎてさみしい。
新橋をさまよいながら途方にくれましたが、ついに見つけました! わりとどこの街にもあり、安価でおいしく、ヴィーガン対応可能なレストランのジャンルが。
それはメキシカンとインドカレーです。
メキシカンは新橋界隈にもチェーン店がいくつか展開していますが、まずだいたいどこの店にも「ベジタリアン」メニューがありまして。(取材先:フリホーレス・カレッタ汐留店、クロニックタコス・銀座店)
タコスなどを「ベジタリアン」や「ヴィーガン」で頼むと、チキンやビーフのかわりにアボカドやチリビーンズをどっさり入れてくれます。値段もランチであれば1000円前後とお手頃。
ベジタリアン向けだとチーズあり。
ヴィーガン対応だとチーズなしで、ドレッシングがかかります。
続いてはインドカレー。(取材先:自然派インド料理ナタラジ銀座店)
宗教上の理由から菜食主義が多いインドというお国柄、だいたいどこのお店にもベジタブルカレーのオプションがあります。
私が行ってきた自然派インド料理・ナタラジでは、すべてのカレーが野菜や豆類からできており、乳製品・卵不使用の「ヴィーガンナン」も置いているという徹底ぶり。もちもちふわふわでおいしいー♪
ランチブッフェの時間は多くの女性でにぎわっていました。
【ヴィーガン対応レストランを探すならアプリが便利】
こんなふうにヴィーガン対応のレストランを探してさまよい歩くのも悪くはないけれど、もちろんあらかじめ探しておくほうがずっとラクです。
そこで便利なのがヴィーガンズの神アプリ・Happy Cow。
世界中にある10万件以上のヴィーガンレストランを網羅し、位置情報から「ヴィーガン」「ベジタリアン」「ヴィーガンメニューあり」とフィルタリングして教えてくれます。アプリ内は英語ですが、お店の公式サイトのリンクが貼ってあるので詳細は日本語で確認できます。
オフィスからいちばん近いヴィーガン対応レストランでランチプレートを。(取材先:チャヤマクロビ ザロイヤルパークホテル東京汐留店)
今回は行きませんでしたが、サブウェイやモスバーガー、COCO 壱番屋にヴィーガンメニューがあることも、アプリを通じて知ることができました。
※全店舗対応ではありません。
【ヴィーガン生活をしてみて感じたメリット】
・発見が多くて楽しい!
30ウン年も生きていると悲しいかな、食に対する新鮮な感覚は麻痺してくるものです。「今日なに食べよう……なんでもいいか」みたいな。そこに新たな制限が加わることは、いい刺激になりました。レストラン選びに一喜一憂したり、脇役だと思っていた豆類のおいしさにハッとさせられたり。そう、これはまるで……恋?
・コスパも思ったより悪くない
当初イメージしていた「ヴィーガンは高くつく」というイメージは完全に覆されました。確かにヴィーガン専用のレストランはやや割高ではありますが、メキシカン系やサブウェイなど、ヴィーガン対応のチェーン店をうまく利用すれば、外食の費用もある程度抑えられると思います。
【ヴィーガン生活をしてみて感じたデメリット】
結論としては、やはり東京はヴィーガンにとって住みづらい街なんだろうなあということ。それは単にレストランの種類が少ないからだけではなく。
・人の目が辛い
「え…なんか変な宗教入った?(笑)」
「倒れないように気をつけてね」
「なんでやろうと思ったの?何かあったの?」
これらは、私がこの1週間で「いまヴィーガンなんだ」と打ち明けたときの周囲の反応の一部です。みな親しい人たちで、悪気がないことはわかりますし1週間前なら私も同じような反応をしていたでしょう。
冒頭でヴィーガンの知人が東京のレストラン事情について語っていた「種類は多いけど、オプション(選択肢)が少ない」の背景にあるものが何となくわかったかもしれません。
では正しい反応とは何なのか? 答えは未だ出ないままですが、この1週間で通い慣れた街の風景が少しだけ違ったものに見えた気がします。
みなさまの周りではいかがでしょうか?
参考リンク:チャヤマクロビ ザロイヤルパークホテル東京汐留店、フリホーレスカレッタ汐留店、クロニックタコス銀座店、自然派インド料理ナタラジ銀座店
執筆:藤山ゲイシャ
Photo: (c)Pouch