【ネタバレあり】 話題作『キングスマン:ゴールデン・サークル』15分に1回は大興奮! アクションと残虐シーンがパワーアップしています
【最新公開シネマ批評】映画ライター斎藤香が公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、本音レビューをします。
今回ピックアップするのは『キングスマン:ゴールデン・サークル』(2018年1月5日公開)です。
2014年の『キングスマン』の続編で、演出は前作同様にマシュー・ヴォーン監督。高級テイラー「キングスマン」の裏の顔はスパイ組織という設定と、スパイ・ガジェットを駆使したアクションが新鮮だった前作。続編は、ポップな音楽と映像とキレッキレのアクションが前作以上というか、エグさ倍増です。
ここからは、ネタバレありつつの本音レビューです。まずは物語からいってみましょう。
【物語】
イギリスのスパイ組織「キングスマン」が襲撃されて全滅! 助かったのはエグジー(タロン・エガートン)とマーリン(マーク・ストロング)の2人だけ。
彼らを襲ったのは新たな敵「ゴールデン・サークル」。そのボスは、残酷でクレイジーな美女ポピー(ジュリアン・ムーア)。彼女は世界中の麻薬常習者を人質にして、恐ろしい計画を実行に移そうとしていました。
その計画を阻止しようと、エグジーとマーリンが手を組んだのはアメリカのスパイ組織「ステイツマン」。エレガントなイギリスのスパイと、ワイルドなアメリカのスパイが「ゴールデン・サークル」に闘いを挑むのですが……。
【前作『キングスマン』のおさらい:ネタバレあり】
エグジーはスパイ組織「キングスマン」のハリー(コリン・ファース)に厳しく訓練されて、敏腕のスパイへと成長しました。そしてエグジーはハリーや仲間と共に、世界規模のテロ組織のボス(サミュエル・L・ジャクソン)を倒すことに成功。
ところがそのミッションの最中、ハリーは命を落としてしまうのです……というのが前作の物語でした。
続編では敵が変わり、今度の敵は女性麻薬王ポピー。前作の悪役同様にかなりクレイジーで、いちばんイカれたキャラ。やることなすこと、えげつないのです。
演じるのはアカデミー賞女優のジュリアン・ムーア。セレブ妻みたいなルックスで、残酷な行為をうれしそうに成し遂げていく姿は不気味すぎです。
【よりグレードアップしたアクションと残酷シーンの数々】
このシリーズの魅力はポップでスピーディなアクションシーンですが、同時に殺人シーンは容赦ありません。
ノリノリのロックに乗せて、人がどんどん死んでいくのですから、正直、前作を見たとき「命が軽すぎじゃないか」とド真面目なことを思ったりしました。
でも、このシリーズについて、それを言うのはすごい野暮なのかも。だって今回はエグさがグレードアップしていますからね。もはやそれが売り! みたいな印象。なかでも、いちばんギョっとしたのは人間ミンチ! ちょっと見ていられませんでしたよ、私は。
【15分に1回はアクションの見せ場あり】
しかしアクションの見せ場を次々と繰り出していく技は見事で、15分に1回は壮絶アクションシーンがあったんじゃないでしょうか。
スパイ・ガジェットを駆使した「キングスマン」のアクションは継続。スーツケース銃、銃を撃ちまくりつつ防御もできる傘などは前作も出ていたと思いますが、やっぱり楽しくてコレコレ、これがなくちゃ! と大興奮。アフターシェーブ・ローションまで武器にするところがオシャレ!
アメリカ側のスパイ組織「ステイツマン」のエース、ウィスキー(ペドロ・パスカル)のレーザー投げ縄もいいですね。光る投げ縄をヒュンヒュン飛ばして、バンバン敵を倒していくシーンはカッコよすぎて笑っちゃいますよ。イギリスらしさとアメリカらしさが交錯するアクションは、本作最大の見せ場です。
また、タロン・エガートン演じるエグジーの身体能力の高さにも注目。冒頭、プリンスの「Let’s Go Crazy」に乗って繰り出されるカーアクションは、何度でも見たくなるカッコ良さ。アクションと音楽がピタリとマッチしているので、カタルシスがハンパないのです。
【007に匹敵するイギリスのヒーローに!】
前作にも登場した「キングスマン」の仲間たちがトラブルに見舞われ、大変な目にあっていく姿は「え~」と思ったりしましたが、「ステイツマン」もこれで終わりとは思えないし、パート3を期待させてくれる『キングスマン』シリーズ。これから「007」に匹敵するスパイになっていくのかも?
本作から見ても楽しめますが、できれば前作の『キングスマン』を見てからの方が、より楽しめると思いますよ。
執筆=斎藤 香(c)Pouch
『キングスマン:ゴールデン・サークル』
(2018年1月5日より、TOHOシネマズ日劇ほか全国ロードショー)
監督:マシュー・ヴォーン
出演:コリン・ファース、ジュリアン・ムーア、タロン・エガートン、マーク・ストロング、ハル・ベリー、ジェフ・ブリッジス、チャニング・テイタム、ペドロ・パスカルほか
(C)2017 Twentieth Century Fox Film Corporation